肉体の呪縛

最近ふと思い出したことがあります。

今から22年前の1996年の5月13日のことです。なぜ正確な日時が分かるのかというとこれからお話しするチャレンジを行なった証明書兼次回以降の割引券が出て来たからです。なんのチャレンジかというと

実はバンジージャンプです。

当時は日本にバンジージャンプが入って来てそう月日が経っていませんでした。目新しい娯楽だったんです。日本各地に体験施設がポツポツ出来始めた、正に黎明期でした。是非、体験してみたいと近場で出来るところを探してみましたが直線距離で300KMくらいの施設が当時、一番近い場所でして高速道路も今より整備されていない時代でしたのでさすがに諦めざるを得ない状況でした。ところが群馬県のとあるテーマパークでアトラクションの一つとして新規オープンすることになったんです。友人の一人を誘って早速、そのテーマパークに向かいました。友人いわく

『俺は絶対に飛ばないからな!!』  でした。

私は「こいつ根性ねーなー!超絶ヘタレ野郎だな」と心で思ってかつ、口にも出して言いました。友人は私のカッコいい勇姿を収める写真係として連れて行くことにしました。

なぜ私が彼をこれほどまでに卑下したかというと日本の施設で行うバンジージャンプは絶対に安全だということを知っていたからです。

体験者はまず四点式ハーネスを身体に装着します。その後に体重を測ってその体重の5倍の重さに耐えられるゴム紐をチョイスします。落下した時にそのゴム紐が体に当たって怪我をしないようにゴム紐を2メートルくらいの長さのウレタンチューブで覆います。これだけでもほぼ問題がないのですが更に落下予定場所には人の背丈程の厚さのエアーマットが展開されています(スタントマンがよく使っているやつです)万が一、紐が切れたとしてもマットの上に落ちますので最悪でも擦り傷くらいで済みます。だからバンジージャンプで私の肉体に損傷を受ける確率は99.9999999%あり得ません!

ジャンプ台は20Mくらいの小高い丘の上に造られています。高さは25M前後でしょうか。体感上50Mくらいの高さに感じます。それもこの施設の売りの一つでした。ハーネスを体に付けて鉄骨の塔に登って行きます。ジャンプ台の上にはハーネスとロープを結びジャンプの合図のをするオネーさんがいます。塔の下にはカッコいい勇姿を撮影する友人がカメラを構えています。オネーさんの『3、2、1、バンジー!』の掛け声と共に両手を左右に真っ直ぐ広げ目を見開き両脚をピッタリ揃えたまま頭からゆっくり倒れながら真っ逆さまに下のエアーマット目掛けて落ちてゆく!

ハズでした。

 

飛べないんです!

理性と知性が肉体が持つ本能の恐怖に屈服した瞬間でした。絶対に安全だと理解しているのに肉体が拒むんです。肉体はいざという緊急事態にはとにかく自己保存を最優先にするということを学んだエピソードでした。

では本当のてん末はどうなったかって?

飛びましたよ!  体重を測った時に飛ばなくても返金はしませんという誓約書にサインをしてましたから、ただしウレタンチューブにしがみついてお尻から目をつぶって飛び(落ち)ました。ダッコちゃんの様に、友人が撮った写真に写っていました。しかも連写で

その写真は捨てた記憶はありませんから自宅のどこかにはあると思います。でも大事な写真ではありませんので何処にあるのかはわかりません。

by  ゆたんぽ

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