霊猫あーちゃんとの生活 #012

ー  あーちゃん巨大母猫に叱られる  ー

あーちゃんは基本的には手の掛からない優しい賢い猫です。まあほったらかしにしたとしても家の中がひっちゃかめっちゃかになることはないでしょう。実際のところ叱るようなこともほとんどありません。ただ一緒に生活を続けていると慣れてくるとか知恵がついてくるとかテクニックを覚えくるとかはあります。

猫の前脚は大変器用です。関節の可動域が広く前脚をまるで手の様に駆使して問題解決に使用します。よく私は猫と人気を二分する愛玩動物の犬を比較の対象として引き合いに出しますが今回も前脚の説明の為にご登場願いましょう。

犬の前脚の可動域は主に前後と上下です。これはほとんど後脚の可動域と変わりません。効率的に地面を蹴って前進する為に役立っているのでしょう。この犬の前脚の可動域に加えて猫は横方向に動かすことが出来ます。わかり易く動作を説明するとネコパンチの動作です。犬にはあのネコパンチの動きは出来ません。人間の動きで言うとビンタの関節の動きですね。

よく猫が擬人化したキャラクターになるのは前脚がまるで人間の手の様に動くからに他なりません。更に猫は前脚の爪を自在に出し入れして掴みたい対象物を器用に引っ掛けます。爪をしまい込むサヤのようなハート型の骨があり、出し入れは自由です。

ただあーちゃんはめったに爪は出しません。出すのは爪研ぎをする時だけです。我が家は基本的にはキッチンにあーちゃんを入れませんがお茶の間とあーちゃんが自由に行き来できる廊下に雪見障子を挟んで分かれています。キッチンはお茶の間の更に隣の部屋になります。家族がキッチンで食事をしているとあーちゃんが「私も入れて」か「早くコッチに来て」か判りませんが雪見障子のガラスに前脚を付けて立ち上がり激しく前脚を交互に上下してガラス面を擦ります。この時も爪はあーちゃんの意思で自由に出せるハズなのですがあーちゃんは出しません。

だからあーちゃんの肉球が擦れて『キュッキュ  キュッキュ』と音を立てます。「あーちゃん!肉球を火傷しそうだからもうやめて!」何度も制止を試みましたが未だにあーちゃんはこれをたまにやります。

あ!  でもあーちゃんがと言うより全ての猫が爪をしまえないアクションがありました。

猫のフミフミです。

これは猫を飼っている人は実際に見た方が多いと思います。飼っていない方でも映像等でご覧になった方もいらっしゃるかと思います。猫がまるでマッサージするがごとく前脚を左右交互にフミフミするアレです。これは子猫の時に母猫のオッパイを飲む時によくするアクションでこれによって母乳が良く出るようになるとのことです。基本的には子猫の時分にしか行わないのですが大人になってもやる猫はいるそうです。

理由としては母猫と早く別れてしまい十分に甘えられなかった猫がすることが多く、子猫の時の幸せな気分を思い出し幸福感に満ちている時にするのがこのフミフミだそうです。ほとんどの場合、機嫌が良い時にするゴロゴロも伴っています。

これはあーちゃんも良くやります。

猫は爪を自分の意思でも出せますが肉球をギュッと押されても爪は出ます。だからこのフミフミのアクション肉球を押し付けた瞬間にピュッと爪が出ます。あーちゃんはこのフミフミを私の太ももでするのですが、いつも決まって左脚の太ももの上なのです。これが結構痛いんですがあーちゃんが幸福感に包まれて、一心不乱にモミモミしているとやめてくれとも言えずあーちゃんの気がすむまでやらせます。おかげで私の左太ももは針先で突いたようにピンク色のポツポツがいっぱいあります(笑)。

こんなに寛容な巨大母猫にあーちゃんは一度叱られます。それは以前あーちゃんと灰児(ハイジ)が喧嘩した場所でのことでした。あーちゃんと灰児が喧嘩したことによって巻き添えを食らった網戸がグチャグチャになってしまいました。アルミサッシを締め切って置けば良いのですがそれでは暑い時期に通風が出来ません。ペット用の強度を増した網戸もあるようですが高額すぎて買えません。考えた末にホームセンターで塩ビ製の薄いボードを購入してアルミサッシと網戸の間に差し込みます。これであーちゃんと灰児が網戸越しに喧嘩しても大丈夫な上に通風も確保出来ました。網戸の高さの半分くらいのボードです。でもそのボードを設置した頃にはあーちゃんと灰児の小競り合いも殆ど無くなり網戸にした時の下半分の目隠の機能だけが残りました。

とある日、何を考えたかあーちゃんその塩ビ製ボードに駆け昇り網戸に爪を引っ掛けぶら下がっていました。

あーちゃんは5キロ近くある猫です。それが10本の爪だけで網戸にぶら下がっている訳ですから無事に済む訳がありません。破壊こそ免れましたが網目は完全に広がってしまいました。ダッシュであーちゃんに駆け寄り網戸から引き離します。

ここから猫の正しい叱り方講座です。

猫を叱り、躾ける時は悪いことをしたその瞬間にしなければなりません。時間が経過してから叱ると猫はなぜ叱られているか理解できないからです。理解出来ない以上、飼い主に不信感を抱き、怯えて逃げ回るだけになります。叱り方も声を荒げて叩くようなやり方は良くありません。猫は結構、記憶力が良く、特に恐怖を感じた時の記憶はしっかり残っていると言われています。

正しい叱り方は猫の首根っこを掴み自由を奪った上で人差し指で猫の鼻をピンピンと2回弾きます。声は出さずにあくまで冷静に

猫の鼻は神経が集中しているデリケートな場所なので軽くピンピンと弾くだけでも相当ショックを受けます。でもこの嫌な記憶と自分のした行為が結び付き、してはいけない行為を学習するのです。

あーちゃんには2回現行犯でこの躾けを受けましたが最初は何をされたか理解出来ずに呆気にとられていました2回目は身をよじって鼻ピンピンから必死に逃げようとしました。

3回目もあったのですがダッシュであーちゃんの元に駆け寄ったらいつの間にか網戸から離れて毛づくろいしながら「エッ!  何かあったんですか?」と言う顔をされたので見逃してやりました。

それを最後にあーちゃんは網戸にぶら下がることも私が躾けの鼻ピンピンをすることもありませんでした。

続く

byゆたんぽ

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霊猫あーちゃんとの生活 #012」への4件のフィードバック

  1. 前足の可動域について「そうそう」って感じで拝見させて頂ました。

    ウチには犬(甲斐犬)がいるのですが、ゴハンをやる前は、お座り、待て、お手、おかわり、タッチを一通りやらせてから食べさせるのです。

    タッチは人間のやるハイタッチをやらせているつもりなのですが、右足を挙げているのに、左足も付いてきてしまい、バンザイのようになってしまいます(笑)

    あーちゃんのとぼける姿も「あるある」でした。うちの犬も、同じことで怒られる時は、怒られる前に何事もなかったようなそぶりをしてトボケます。人間ならイラっとするところでしょうが、ペットだと許してしまいますよね(笑)

    そう言うところからも、動物の感情があるというのが感じられます。

    ところで、ハイジ(灰児)って漢字があったんですね。「灰」?

    • 灰児(ハイジ)の名前の由来はその灰色の毛並みからです。(#010話参照)野良のくせに妙に毛並みが良く灰色の毛並みの猫が近所に居ないことから名付けました。
      もしかしたら飼い猫かもしれませんが、だとしたらあーちゃんとは真逆で飼い主さんは相当の忍耐力を必要とするのではないでしょうか(笑)

  2. ペットに、貴方はダメな事しちゃったんですよ!と伝えるには、動物の視点にそったやり方でなければ、ペットがストレスためこんじゃうだけですもんね。
    現場を押さえる俊敏性は、さすがゆたんぽさん、毎日のキックが効いているんでしょうね~(^O^)

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