霊猫あーちゃんとの生活 #016

ー  あーちゃん動物病院へ行く  後編  ー

この時はまだあーちゃんが朝オシッコをしたことで尿検査が出来なくなったことを知りませんでした。あーちゃんにとっては久々の外出です。あーちゃんは意外にも移動用ケージを余り嫌がりませんでした。準備が整いましたのでP動物病院へ出発します。あーちゃんのケージを車の助手席に置いて取っ手の部分にシートベルトを通して固定します。P動物病院は予約診療ではないので早く行って検査を受ければ早く帰って来れます。もし動物病院に行ってあーちゃんが嫌がるとあーちゃんが可哀想ですので待ち時間は最小限にしたいのです。診療開始の30分前には着くように家を出発しました。

助手席の座面にケージを置くとあーちゃんは外の景色を見ることが出来ません。約40分くらいの道のりですがあーちゃんがむずからないか心配です。せめて外の景色でも見れれば不安も紛れるかと思ったのですがそれは難しそうです。せめてあーちゃんのケージから私の姿が見えるようにとケージの固定角度を調整しました。車を走らせると5分くらい経ってあーちゃんが1回鳴きます。「もうじき着くからね」そう声を掛けると私の顔をジッと見て大人しく成ります。しばらくするとあーちゃんが鳴きます、また「もうじき着くからね」と声を掛けます。

何度かお話したと思いますがあーちゃんは必要がない時以外はほとんど鳴きません。だからあーちゃんが鳴く時は何かしらの要求がある場合か感情を表現する時だけです。ほとんど鳴かないものですから実際に鳴くと大概は何をして欲しいのか理解出来ます。今日のあーちゃんは多少不安なようです。結局、P動物病院に着くまでの道すがらあーちゃんが鳴いて私が声を掛けるをずっと繰り返していました。

P動物病院には予定通り診療開始の30分前には着きました。他の患者さんも待っているかと思っていましたがどうやら一番乗りの様です。待合室では掃除機をかけていました。ちょっと早かったかなと思いつつも待たしてもらいました。看護スタッフの方にあーちゃんのカルテを作る為の問診票の記入を促されました。考えてみればペットを連れて動物病院に来たのは私も生まれて初めてです。なんだかここに来て私も少し緊張してきました。問診票を書き終えて今日の来院目的である、あーちゃんの予防接種と健康診断の希望を伝えました。診療開始までお待ち下さいとのことでしたのであーちゃんと待っていました。

診療開始時間が近づく中、2人目の患者さんが来ました。茶トラの猫を連れたお婆さんでした。これまで大人しく待っていたあーちゃんが同族の猫が来たことで興奮しないかと一瞬ドキッとしましたが杞憂でした。あーちゃんはケージの中からノンビリと外の景色を眺めていました。「あーちゃん肝が座っているなー」そう思ったのは訳があります。このお婆さんが連れて来た茶トラめちゃくちゃ鳴いています。鳴き叫んでいます。「ガー  ガー  ガー」普通は猫は「ニャー ニャー」と鳴くものなのにこの茶トラ、野太いハスキーボイスで「ガー  ガー」と鳴いています。よほど病院が嫌いと見えます。必死に抵抗しています。あーちゃんは涼しい顔をして相変わらず外を眺めています。

こうして他人様の飼っている猫をまじまじと観察してみるといかにあーちゃんが手のかからない賢い猫か良く分かります。あんな風に鳴くあーちゃんを見たことがない上にあーちゃんは鈴の音の様な可愛らしい声で鳴きます。何よりあーちゃんの方がずっと美猫です。「美人で賢くて性格も控え目で声も可愛い完璧な猫じゃん」と親バカ妄想を爆発させている最中に診察室に呼ばれました。

M先生に再度、こちらの希望を伝えて予防接種と採血の準備がなされました。予防接種と採血の前に視診や触診、体重測定がある為にあーちゃんをケージから出そうとするとケージの奥にぴったり張り付いてあーちゃんが出て来ません。さすがのあーちゃんも怖がっています。あーちゃんをケージから引っぺがし診療台の上で診療が始まります。テキパキと慣れた手つきでM先生の診察が進みます。あーちゃんちょっと怖がってはいるものの大人しくしています。看護スタッフさんにも「あーちゃんは大人しい猫ちゃんですね」と褒めてもらいました。まあ多少のリップサービスはあるのでしょうが「あーちゃんはガー  ガーとは鳴かんしな」と心の中で思っていました。

だだ採血をする段になってあーちゃんが怖がり身をよじり始めました。すかさずM先生が「ゆたんぽさんあーちゃんの名前を呼びながら頭を撫でていて下さい」と指示してくれました。言われた通りにするとあーちゃんはぴったりと大人しくなりその隙を見計らい採血は終了しました。今回出来なかった尿検査は来週、血液検査の結果を聞きに来る時に実施することになりました。尿検査の結果は即日分かるそうなので結果オーライでしょう。ただあーちゃんに勘づかれずにオシッコをする前に病院に来る必要はありますが。

P動物病院での支払いを済ませあーちゃんと帰路に着きました。初めてのことの連続で大分、気疲れしたので帰りは高速道路を使います。下道なら40分かかるところを15分で着きます。車を発進する前にあーちゃんに話し掛けます。「あーちゃん、これからお家に帰るからね」

あーちゃんは家に着くまで一度も鳴きませんでした。

続く

ー  次回予告  ー

あーちゃん粗相の謎がついに明らかになる果たしてあーちゃんは何故粗相し続けたのか?次回、『あーちゃんの逆襲』お楽しみに!

byゆたんぽ

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霊猫あーちゃんとの生活 #016」への3件のフィードバック

  1. あーちゃんシリーズに登場する他の猫の話も、何だか好きなんですよね。

    あーちゃん採血偉い!!、私は大嫌いです(笑)

  2. 待合室までは大丈夫でも、病院の診察台におびえる子は多いですよね。動物目線で見ると、あの診察台って大きくて恐ろしく見えるんでしょうね~。嫌な思いばっかりする訳ですし。
    霊的に高級な幽気を発する獣医さんがいてくれたら、診察の度、怯える子たちの幽体に良い刺激を与えることだってできるのですが。
    水波霊魂学の動物の本がもっと出回らなくてはいけませんね(^_^;)

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