霊猫あーちゃんとの生活 episode ZERO #005

ブゥはそれからも母猫レーマニー、兄弟猫と一緒に行動を共にする事が多かったです。ただ以前との大きな違いは私の姿や気配を感じるとブゥは率先して鳴いて私にエサをねだる様になったことです。勿論、事前にエサを準備しておくこともあり、空っぽのお皿だけが残って、ブゥ達の姿が見えない日もありました。ただ前の食事から時間が空いていて空腹時に部屋の電気が点いて私の気配があるとブゥは鳴いてご飯ちょうだいアピールするのでした。

皆さんは猫は鳴かない動物だということをご存知でしょうか?

「え! 猫って鳴くでしょう、ニャーンって」実は半分だけ正解です。猫が単独行動のハンターだということは以前にお話ししましたが意味もなく音や声を発してしまうと自分の位置を獲物に気付かれて逃げられてしまう恐れがあります。だから野生の猫は(野良猫も含めて)ほとんど鳴きません。2匹の野良猫が連れ立って「ニャーン?ニャ!ニャオーン」などと鳴きながら歩く姿は見た人はいないとおもいますよ(笑)

ただ例外もあります。生まれたばかりの子猫が母猫を呼ぶ時や自分の場所を知らせる場合は鳴きますし、雌猫が発情期を迎え雄猫を呼ぶ時も盛大に鳴きます。でもこの場合は「子作り準備完了!オス供、バッチこーい‼︎」なので「ニャーン」という感じではありませんね。

ではこの我々が良く耳にする「ニャーン」は何かというとこれは猫達が進化の過程で手に入れた人間とコミュニケーションをとる手段なんです。人間に対して何かを要求するとか人間に対して意思を示す時しか鳴かないんです。加えて猫は自分に餌を与える人間を自分の母親と認識しているそうです。

かくしてブゥは生みの母と育ての母の2人の母を手に入れたのでした。

この時期になるとブゥはほぼ毎日、家にやって来て晩御飯を食べていました。食べている最中でも頭を撫でたり背中を撫でたりしても逃げることはありません。一家でくつろいでいる時も撫で欲しいと近づいてくるようになっていました。ヤーはブゥ程人間に対して気を許していません。ブゥが私の側でご飯を食べていると少し離れた場所で様子を見ながら空腹に耐えかねて恐る恐る近づいてブゥの腹の下をかいくぐりブゥと一緒に食べる、そんな状態でした。

私がチョットでも動くとサッと身をひるがえし逃げ、また近づいてくるの繰り返しでした。母猫レーマニーは息子達が食べているのを尻目にやはり2メートルの距離より近くに寄りません。一度だけ空腹に耐えかねたのか餌皿に頭を突っ込んできたことがありましたがその一度だけで後は人間の姿があるとエサを食べることはありませんでした。ター子はこの頃にはほとんど見かけないようになりました。もしかしたら私の居ない時に来ていたのかもしれませんがレーマニー達と行動は共にしていないようでした。人一倍人間に対して警戒心が強い猫だったので何処かの人間に餌をもらっているとも考えにくいのですがどこかでたくましく生きているのでしょう。そう思うことにしました。

そして10月も下旬になってくるとレーマニーの姿も余り見かけないようになりました。家に来るのはとうとうブゥとヤーだけになってしまいました。

そんな時です。チョットした事件が起こります。

ブゥは人懐っこい猫ですが余りワガママではありません。お腹が空いていても撫で欲しい時も入り口でじっと待っていたりします。(写真はその時のブゥです)そんなブゥの性格に慣れしまったせいかある時、室内とベランダを繋ぐ扉を開けたままその場を離れてしまったことがありました。1匹の猫が室内に入り込み、走り周っていたずらしていました。

ヤーでした。

ヤーはブゥほど人懐っこくない分、人に対する信頼が少ないようでした。悪く言うと人を下に見ているような部分が見受けられました。ター子の様に人間に近寄りもしないという方が野良猫としては良いのかもしれません。全ての人間が野良猫に対して好意的に接してくれるとは限りません。ましてや野良猫が自分達の生活圏に勝手に入ってくることを許容できる人間はごく少数でしょう。危険な性質だと感じました。自分も安易に接してしまったのかもと反省しました。

後日、私はヤーに人間は怖い生き物だと教えることに決めました。猫は賢い生き物です。一度でも怖いことや嫌なことを体験すると二度とその場所に近寄りません。ヤーの体を傷つけずに人間は怖いものだと教える為に、とっておきの高級猫缶を開けて猫のケージの奥に起きました。

ヤーが高級猫缶に釣られてケージにソロリ、ソロリと近づいて来ます。私は目だけでその動きを追っています。ヤーが中に入りました。程なくヤーが高級猫缶を食べ始めます。「まだだ、まだだ、もう少しヤーが食べることに集中するまで待つんだ」心の中で呟きます。その時、ヤーの重心がチョット上がりました。低い姿勢から起き上がったのです。その瞬間、電光石火のごとく動きケージの扉を閉めました。

ヤーは直ぐに自分が閉じ込められたということを理解しました。ケージの中をグルグル回って何処にも逃げられないと観念すると『ごめんなさい、ごめんなさい、もうしません!』と哀願するがごとく「ニャー、ニャー」と鳴いていました。私は後味の悪さを感じつつも30分ほど閉じ込めた後、離してやりました。ヤーは脱兎のごとく逃げて行きました。

ヤーは人間が怖いものだと学んだのでしょう。それ以降、姿を見ることはなくなりました。

ブゥが私の足元で鳴いていました。

「ニャーン!(撫でてヨ!)」

 

続く

byゆたんぽ

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霊猫あーちゃんとの生活 episode ZERO #005」への5件のフィードバック

  1. ネコの世界も、何時までも同じではいられないのですね。物質世界での厳しい現実はネコにも容赦ないです。今後の展開はどうなって行くのでしょう?

  2. 写真の猫、我が家の猫と全く同じ色と模様ですね。
    キジトラと言う品種らしく、とても可愛いですね。

  3. 人間にしか鳴かない・・・!猫に対しても鳴いているものだと思っていて、気づきませんでした。動物の習性、面白いですね。

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